“ウェルネス経済”

WERI

The Economics Research Institute

ウェルネスとは?

ウェルネスとは、健康や幸福への価値観でウェルビーイングな状態を目指す概念です。身体的、精神的、社会的な面からの健康を含む総合的な幸福感を表します。また、ウェルネスの概念は、単に疾病や病気の不在だけでなく、個々人が最良の状態であることを促進することを目指します。これは、健康に関連するさまざまな要因に焦点を当て、バランスの取れたライフスタイル、適切な栄養、運動、ストレス管理、良好な人間関係などを含む総合的なアプローチを取り入れることを意味します。ウェルネスの概念は、個々の健康に加えて、組織や社会全体の健康や幸福を考える視点も含んでいます。

ウェルネス経済とは?

ウェルネス経済とは、ウェルネスに関わる経済でマクロ・ウェルネスとマイクロ・ウェルネスに分けて、マイクロ・ウェルネスは人の内面に関わる経済で、マクロ・ウェルネスは人の外面に関わる経済と定義します。
マイクロ・ウェルネスでは、個人の内面的な健康や幸福に関連する要素が重視されます。例えば、医療、健康管理、フィットネス、ウェルビーイング、美容などが含まれます。これらの分野では、消費者は自分の健康や幸福に良い影響があると期待してサービスや製品を選択しますが、その効果が定量的に評価されにくいことが課題とされています。それでも、消費者はウェルネスの効果を期待して投資を行い、事業者はその期待に応えることで市場が成立しています。
一方、マクロ・ウェルネスは、社会全体のウェルネスに対する経済活動です。ここでは、ホスピタリティ、旅行、教育、スパ、セラピー、ファッション、衣食住、ウェルスマネジメントなどが含まれます。これらの産業もまた、個人の生活の質を向上させることに寄与するとされ、消費者はそれらを利用することで自身の生活を豊かにしたり、自己表現を行ったりします。

ウェルネス市場と
ウェルネス・テック

2024年4月の時点では、2024年における世界のウェルネス市場規模が1.8 trillion米ドル(約273兆円、 USD1=JPY151.7250の場合)であるとMcKinsey & Companyが推計しています。興味深い特徴は全ての世代 において、Z世代(1997年~2012年生まれ)が最もウェルネス経済における消費者で、次いでミレニアル世代 (1981年~1996年生まれ)で、Appearance(容姿)、Health(健康)、Fitness(フィットネス)、Nutrition (栄養)、Sleep(睡眠)、Mindfulness(マインドフルネス)においてはZ世代が他の世代よりも最もウェルネス 消費が強く、ミレニアル世代はAppearance(容姿)、Fitness(フィットネス)、Nutrition(栄養)、Sleep(睡眠)、 Mindfulness(マインドフルネス)においてZ世代の次に消費が大きいです。日本では少子高齢化が深刻で、高齢者を ターゲットにした市場に多くの企業の関心が集まりがちですが、ウェルネス経済においてそのけん引役はZ世代やミレ ニアル世代のような若くて働き盛りの世代で、先細りする市場ではなく、今後益々その成長が期待できます。

2024年ウェルネス世界市場規模
273兆円

ウェルネスがもたらす経済効果

ウェルネス経済が成立する背景には、消費者のウェルネスに対する期待と、 事業者の製品やサービスがその期待に応えることで生じる経済効果があります。 この経済現象は、消費者の心理的ニーズや自己実現の欲求を反映し、それに対 する市場の反応が商品やサービスの供給となっています。
最近では、ウェルネス経済の発展に伴い、シグナリング理論やナッジの概念が 重要視されています。これらは、消費者に対して情報を開示することで市場が 効率的に機能するよう促進する理論です。例えば、特定の商品が自己実現や健康促進 に効果があるという情報を消費者に提供することで、その商品の需要が増加する メカニズムがあります。
ウェルネス経済は、今後も成長が見込まれる分野であり、 個人のニーズに応じた多様な商品やサービスの提供が求められます。これにより、 消費者の生活の質や幸福感が向上し、経済全体にポジティブな影響を与えると期待されて います。

ウェルネス経済:お金になるウィルネスの正体

ウェルネス経済研究所では、ウェルネスに関わる経済価値と社会価値を調査分析し、ウェルネスが創出する実経済と期待経済を研究しています。 また、ウェルネステックを研究開発し、社会への実装方法を研究しています。